漢字のへんである「月」には2種類の呼び方があります。
・「つきへん」と呼ばれるもの
・「にくづき」と呼ばれるもの
どちらも、現代では同じ表記「月」とされていて
書くときは「月」と書き、ちがいはありません。
しかし、この二つのへんは、もともとは全く別のものだったのです。
この記事では、「つきへん」と「にくづき」について詳しく解説していきます。
もとの「つきへん」と「にくづき」のちがい
「つきへん」と「にくづき」は、もともとは全くちがう部首(へん)でした。
昭和24年(1949年)に内閣府が「当用漢字字体表」というものを発表してから
「つきへん」と「にくづき」は同じものとして、表記、筆記されるようになりました。
漢字には、意味や成り立ちが存在しますが
それらを無視して同じ「月」という表記で統一されています。
以下では、今では使い分けはされていませんが
元の「つきへん」と「にくづき」の違いを解説しています。
部首「つきへん」の由来、成り立ちは三日月
「つきへん」は、欠けた月(三日月)を描いたの形が成り立ちです。
そのため、もとの「つきへん」は
月の中の2本線(2番目と3番目の線)が、右端の縦のせんにくっついていない「月」でした。
「つきへん」が使われる小学校で習う漢字
月の部が使われる小学校で習う漢字をまとめました。
月
音読み:ゲツ・ガツ
訓読み:つき
成り立ち:三日月をえがいた形
有
音読み:ユウ
訓読み:あ(る)
朝
音読み:チョウ
訓読み:あさ
服
音読み:フク
訓読み:×
期
音読み:キ・ゴ
訓読み:×
望
音読み:ボウ・モウ
訓読み:のぞ(む)
部首「にくづき」はどうして『月』とかくのか
「にくづき」は、筋の入った肉を表した形から由来しています。
そのため、「にくづき」の『月』は、三本の横線すべてが右の縦線にくっつく形で
表記されていました。
人体の漢字に「月」がつくのは、お月様を表す「つき」とは関連はなく
肉として「月」と表記されているということですね。
「にくづき」が使われる小学校で習う漢字
肥
音読み:ヒ
訓読み:こ(える)・こ(やす)・こ(やし)・こえ
脈
音読み:ミャク
訓読み:×
胸
音読み:キョウ
訓読み:むね・むな
肺
音読み:ハイ
訓読み:×
脳
音読み:ノウ
訓読み:×
腸
音読み:チョウ
訓読み:×
腹
音読み:フク
訓読み:はら
臓
音読み:ゾウ
訓読み:×
まとめ
漢字の部を表す「つきへん」と「にくづき」についてまとめました。
どちらも、現代では表記、筆記するときには漢字の「月」と同じ書き方です。
しかし、成り立ちと部首の読まれ方は違います。
・三日月が由来の「月」つきへん
・肉が由来し、変形したのが「月」にくづき
となります。
「当用漢字字体表」というものを発表されてから、「月」にと統一されてしまいましたが
それまでは、書くときも違いがありました。